2012年5月21日 (月)

今年も再会、ゲザ・ホッス=レゴツキの音はやっぱり・・・

Photo昨年に引き続き、今年もゲザ・ホッサ=レゴツキが来日!ヴァイオリン・リサイタルに行って来ました。浜離宮朝日ホールにて19:00から開演なので、会社で「今日はヴァイオリンリサイタルに行く。」宣言をし、「誰の?」と聞かれて「ゲザ・ホッス=レゴツキだよ。」と言っても、残念!誰も知らなかった・・・coldsweats01 まあ、私もこのブログでも書いたけど、まだミューザ川崎が無事だったころ、定期演奏会に行って、たまたま出会えたから知っているけど、CDも出てないみたいだし、まあマニアチックと言えば言えるのでしょう。でも、昨年、あの東日本大震災後、次々と海外のアーティストが来日をキャンセルする中、5月に来て変わらぬ熱いヴァイオリンを聞かせてくれて、久しぶりに心が癒されたので、その感謝もこめて今年も足を運んでみました。

初めてゲザのヴァイオリンを聞いた時、私は「この人はヴァイオリンをあごに挟んで生まれてきたんじゃないかな?」と思いました。それくらい、バイオリンと一体化していて、本当にヴァイオリンを弾くことが楽しくて楽しくてしょうがないように見えたんですよね。で、昨年初めてソロで効いて、ゲザの熱い音を堪能し、さて今年はどうかと言うと、意表をついて(?)譜面台を置いての演奏からスタートでした。確かにヴァイオリンの技巧は楽しめるのですが、正直ゲザっぽくないなあ~という感じで、会場もし~んとしてました。でも休憩後、譜面台が無くなりゲザが自由に弾き始めると、そこからはやっぱりゲザの熱い世界が展開happy01、特に今年は相棒のピアニストがルドルフ・ツェネという方で、ゲザとのアンサンブルに参加しているだけあって、息もぴったり、醸し出す世界観も一緒で、独特の音の世界を作り出してくれました。そうなると、あとは会場も大いに盛り上がり、やっぱり何度もアンコールが出て、そのたびに嬉しそうにゲザは弾いてくれ、とうとう「Last One」と言って弾き、スタンディングオベーションも出て終わったのでした。

正直、技術的には時々不安になる部分も今回はありました。ゲザの「そこまで引っ張る!?」というくらいの音の伸びが好きなのですが、今年はちょっとその伸びがイマイチで、音の艶々感もちょっと粗い感じがしました。その分、前より音が骨太になったかな?ゲザも27歳ですからね、色々と考えるところもあるのでしょう。ゲザは自由奔放な演奏が魅力だと思うので、クラッシック界では難しい面が多いのかもしれません。でも「血が騒ぐ!」というキャッチフレーズどおり、観客の心に入り込む力強さは抜群なので、是非、その道を極めてもらいたいなあ~。一度でいいから、赤ワインを飲みながら、踊れるような場所で、手拍子しながらゲザのヴァイオリンを聞いてみたいです。コンサートイマジンさん、そんな企画いかがでしょうかwink??

2012年5月17日 (木)

骨太な秀作です・・・『ウィンターズ・ボーン』

684265viewrsz90x サンダンス映画祭グランプリを獲得というキャッチフレーズの予告編を見たときから気になっていた作品です。でも、かなり深刻そうな内容だったので、映画館に行くのは躊躇してしまったのですが、やっぱり気になってレンタルして見てみました。確かにアメリカの過酷な貧困と格差を描き、その悲惨さと舞台となったミーズリー州の光がない寒そうな背景が共鳴して、かなり重苦しい作品ではありました。でも荒削りな骨太さが返って胸を打つ作品なのですが、あまりに過酷な内容なためか、ネット評はイマイチのようですね・・・。

ストーリーはリーという気丈な少女を中心に展開していきます。リーは失踪した父親が、家・土地・森の全てを借金の担保にしていたため、もし父親が見つからなければ、全てを失い、即日犬のように家を追い出されるという最悪な事態。重ねて、母親はうつ病で親の役割を果たせず、幼い弟と妹の世話や家事は全てリーが担っているという、かなり切羽詰った状況に陥りながらもリーは、果敢に運命に立ち向かおうとします。その日の食料にも困る状況だし、自分のやりたいことも出来ないのに、気丈に弟と妹を守りながら、ストレートに大人たちに体当たりしていくリーのタフさ。凄いですね~。どうも父親は、その土地のボスに対して裏切り行為を働き、長年の村のしきたりを破ったために消されたらしいのですが、ボスへの恐れから口を閉ざす大人たち、特に見てみぬふりをしようとする叔父に対してリーは「父は、あなたの弟なのよ!」と啖呵を切ります。どんどんと追い詰められていくリー。あまりの息苦しさに見ているのが何度も辛くなりました。でもリーの真摯さが少しずつ周りの壁を崩し、遂には敵のシャッターをもこじ開け、かなり残酷な結果を伴うものの、何とか自分が守ろうとしたものを守り、楽な未来ではないと予想できるものの、リーは凛として新しい一歩を踏み出していきます。

さて、こんなタフな少女をジェニファー・ローレンスは、顔を殴られ歯が折れるシーンもある過酷さながら、見事に演じきりました。華奢で、色っぽい美少女のイメージでしたが、今回はそれら全てを封印し、荒々しくも心優しい骨太女性を体当たりで演じていました。こんな綺麗な女優に、こんな強い役を与える発想がいいですよね。そして、その期待に答えたジェニファーも素晴らしい!この過酷なプロセスが、女優をさらにタフにして大きくしていくのでしょう。次回作が楽しみです。かなり重苦しい内容だけど、生きる根源的な力をリーからもらえるので、女性には見てほしいです。あと同じサンダンス映画祭グランプリ作品『フローズン・リバー』が好きな方、是非ご覧下さい!

2012年5月14日 (月)

間もなく終了、その前に是非・・・『KATAGAMI  SRYLE』展

久しぶりに美術館に足を運びましたhappy01!昨年、自分を取り巻く環境が意図せず変化したため、時間が思うように使えずに見逃しいた数々の美術展・・・。映画はレンタルで見れますが、美術展はそうも行かず、ホント悔しい気持ちが募ったので、今年こそ!でも今が今年初ではね・・・。

Katagami さて今回足を運んだのは三菱一号館美術館で開催されている『KATAGAMI STYLE』展です。日本の着物の型紙が海外でどのような影響を与えたのかを具体的に見せてくれる展示で、歌舞伎を見るようになってから、着物のデザインの多様性と浮世絵の斬新さに魅力を感じている私にとっては、誠にありがたい企画です。そもそも江戸時代の小紋は、お殿様が出す贅沢禁止令のため「着物は無地」とお達しが出た中、Sn3s0229遠目には無地に見えるけど、近くで見ると模様入りという、いかにも江戸人の粋と意地が形になったものです。それが浮世絵同様に海外に渡っていたというのも、そして、渡った先の各国でデザインに影響を与えたというのも今回初耳。そんな型紙デザインを使用前、使用後として海外の作品と型紙を対比 して見せてくれているのが、この企画展の面白さです。あくまでも推測なので、もしかすると製作者の立場からしたら「違うよ~」となる物もあったりするかもしれませんが、デザインはさまざまなインスピレーションが入り混じって形になるものなので、その一因として日本の型紙があると言うことなのでしょう。でも、こういった創造力満載の企画点はやっぱり楽しいですね。新しい発見が沢山あるのも、こういった企画展ならではでした。

まず今回は、同じ日本人ながら、パソコンもない時代に緻密な細かい模様を描いて型紙Sn3s02280001 Sn3s0223 Sn3s02270001 にし、着物に仕上げた日本文化に拍手!同じ日本人として、デザイン性の高さと技術の確実さに誇りを感じました。そして、いかにも日本そのものの型紙が、それぞれの国で、その国なりの味付けがされ、お国ぶりが出ているのにも驚かされました。例えばイギリスのリバティプリントには、英国人の真面目さが現れているし、フランスに行くと急に曲線的になり、優美さが強調された作品になるし、ドイツ語圏に渡ると、強さが強調されたデザインになるという、まるで、国の文化の化学反応のようで楽しかったなwink

Sn3s02320001今回、現代のファッション雑誌にあたるような江戸時代の冊子にも出会えますよ。これが 日本人の繊細さと合理性がよく現れていて、今でも見ていて楽しくなるものでした。残念ながら5月27日で終了してしまいますので、日本独自のデザインがどう変化するか、是非足を運んでご覧下さい。

2012年5月10日 (木)

今回は琵琶湖にて『偉大なるしゅららぼん』

Photo またまた万城目ワールド全開!今回は『偉大なるしゅららぼん』です。今度の舞台は滋賀県の琵琶湖、京都→奈良→大阪と来て、「さて次はどこ?」と思っていたら琵琶湖ですからね、順当と言えば順当ではあるのですが、それにしても、万城目さんの次々と湧いてくる発想の源は一体どこにあるのでしょうか??

前回の大阪に仕掛けた壮大な設定と比べると、若干今回は規模が貧弱・・・という批評がネットを見るとあるようですが、なんのなんの、今回は琵琶湖を守る湖の民を登場させ、その民に不思議な力を持たせたという設定が、個をテーマにしていて反対に面白いと思いました。戦う鬼→しゃべる鹿→大阪城に大阪国と、どこまで大きくなるのか万城目ワールドはsign02と思っていたら、個人のサイコパワーに持ってきたとこは、意外性があって良かったかと。パワーを使って繁栄を横臥している日出家は、人の心に入り込んで相手の意思を思うがままに操れる力を持ち、その日出家に対抗する棗家の力は、相手の時間を止める力を持っていて、なぜか互いが力を発揮すると、頭が割れるような、ひどい音が出て動けなくなるという仕組み。なんかホントに役に立つのか、わかるようでわからない力を持った二つの勢力の対立に、他の湖の民の力が及んだことで混乱をきたし、琵琶湖の民の危機を救うべく、宿敵の日出家と棗家が力を合わせると「しゅららぼん」が起きる・・・。まあ、ざっと説明するとこんなパワーのやり取りなのですが、登場人物のキャラが超個性的なので、前半はそれで楽しめ、後半はちょっと緊張して戦いの展開にハラハラし、琵琶湖の主が現われてクライマックスとなり、主人公達は一歩成長する・・・そんなお話です。

それにしても、万城目さん、「しゅららららららららぼぼぼぼぼぼぼんんんんん」なんて言葉どうやって思いつくんですか?「ホルモー」も笑ったけど、今回はそれ以上でした。それもパワー炸裂!ってシリアスなとこで、このフレーズですよ。思わずひっくり返りそうになりました。そして、さもありなんと思わせる設定力には、今回も脱帽でした。今度、琵琶湖に行ったら、思わず龍に話しかけてしまうかもしれません。湖が割れること、期待したりして・・・。さて、次なる万城目ワールドはいずこへ!!万城目さん、富士山fujiなんて、いかがでしょうか??

2012年5月 7日 (月)

温泉文化、万歳!『テルマエ・ロマエ』

340852_100x100_001 『テルマエ・ロマエ』見てきました!夫が予告編を見た時から「平たい顔族」にはまってしまい、「見たい、見たい!」と連呼するので、お付き合い観戦となった次第です。でも、意外や意外(失礼!)、あまり期待していなかった(またまた、ごめん!)けど、結構面白かったんですよねhappy01。『ステキな金縛り』までは行かないにせよ、邦画としては良質なコメディ作品に仕上がってました。

確かに、突っ込みどころはたくさんあります。日本の場面ではローマ語と日本語の両立なのに、なぜかローマの場面になると日本語で会話を始めたり、日本のロケ地がとてもメジャーな場所なので、どうしてさっきまで伊豆にいたのに今は伊香保なの?とか、東北になぜ熱川バナナワニ園なの?とか突っ込みたくなったり、どうして都合のいい時に時空を行き来できるの?と聞きたくなるのは山々なのですが、でも風呂好きという共通点に着眼し340852_100x100_008 て日本とローマをつなげたアイデアは、アッパレ!です。まあ、これは340852_100x100_003 原作のマンガに対してですね。そして、そんな奇想天外な内容を映像にしようと思い立ち、ローマまでロケに行ったり、日本の温泉地を探したスタッフにも拍手!そして、顔が濃いということで真面目にローマ人を演じた俳優陣の皆様、脱帽です。それにしても、楽しそうに演じてましたね、阿部寛さん、市村正親さん、北村一輝さん、宍戸開さん。上戸彩さんも「平たい顔族」なんて言われながら、結構頑張ってました。

タイムトラベル物としては、かなりゆる~い設定なので、つじつまが合わないと気持ちが悪い方や、科学的根拠が無視されていると我慢できない!というタイプの方には、ちょっと楽しめないかもしれません。かなり自分勝手にワープしているし、どうしたらワープするのか根拠の説明も無いし、ワープで受けるマイナス作用もゼロだし、かなりご都合主義すからね。でも、そういった矛盾を受け入れても楽しめる作品はなかなか無いので、頭を空っぽにして楽しむコメディとしてお薦めです。それにしても、温泉って日本の文化なんですね~spa今回改めて、そう実感しました。日本人の温泉好きの方、是非ご覧下さい。やっぱりお風呂はいいですね!温泉、万歳!あっ、私一度でいいから、阿部寛演じるルシウスが作ったお風呂に入ってみたいです・・・bleah

2012年5月 3日 (木)

実は意味深??『リミットレス』&『カンパニーメン』

さて久々にDVD2連発!結構、意味深で意外な示唆に富む2作品です。

680311viewrsz90xまず1作目は『リミットレス』 これは、あまり目立たなかったけど、仕掛けが斬新で、映像も結構スタイリッシュなのにはビックリ!公開時に、もう少し話題になってもよかったのに・・・。ストーリーの着眼点がなかなか面白くて、人間は普段は脳の20%しか使っていないところを、脳の力を100%発揮させることができる魔法の薬が開発された・・・という設定。当然のごとく、効き目が強い薬は中毒性が高く、かつ副作用も強いわけで、つまりは麻薬のような・・・といいうか、まさに究極の麻薬のお話です。だけど脳の活性化を100%にするという発想がなかなかありそうで無かったのと、ジェットコースターのように上がったり下がったりするストーリー展開はなかなかで、結構引き込まれて見てしまいました。これは原作の力が大きいですね。そして散々薬に振り回された主人公は、薬の使い方を上手くコントロールできるようになると、最後には薬に対する抗体(?)のようなものができ、脳の力を常に100%駆使しても耐えうる人間になるという、ちょっと人を食ったようなエンディングとなります。でもね、コントロールされるだけの人間と、コントロールできるようになる人間の対比は、「人生の勝者になるには?」なんてビジネス本みたいなテイストで、なかなか興味深かったです。

680318viewrsz90xそして2作目は『カンパニーメン』 ネットでは描き方が甘い、浅い、現実はこんなもんじゃない!というコメント満載のようですが、「転職お仕事もの」として見ると、結構勉強になる作品です。若くして成功を納めたかに見えた主人公は突然の会社からの解雇通告を受け入れることが出来ず、原因を他人に転嫁し、いつまでたっても新しい1歩が踏み出せません。新しい企業に面接に行っても、いっつも上から目線で態度はでかいし、同じ失業者の仲間と自分は違うと思い込んでバカにするし、収入が減ったのに今までの生活レベルに固執するし、挙句の果ては高級ゴルフクラブの会費を払わない奥さんを怒るし、全くいいところ無し。自分は引く手あまただという思い込みに縛られ、失業前の収入にこだわり、せっかくの仕事の誘いも無視するというわがまま振り。でも、こういう状態になると、誰でもが陥りやすい穴だけに、こうやって他人事で見ておくことは結構いいかもしれません。それにしても、この作品で見るエグゼクティブの生活ぶりはビックリ!こんなにランニングコストがかかる生活をしていたら、後に引けないというか、レベルを落とすのは相当勇気がいりますよね~。あちらのエグゼクティブはここまで贅沢な暮しをしているのでしょうか??でも結局、人は分相応のところに落ち着くといいますからね・・・その点でも示唆に富む内容でした。

週末のDVD鑑賞には十分満足できる作品2つです。いかに生きるか?がテーマなので、ビジネス本が好きな方、お薦めです!

2012年4月30日 (月)

まさに芸術作品のような映画です・・・『アーティスト』

341445_100x100_001 今年のアカデミー賞の話題を独占したかに見えた作品『アーティスト』、どんな作品なのか、ドキドキしながら見に行って参りました。ネットでの評判も上々のようなので、映画館の混雑を覚悟して行ったのですが、平日で横浜のラストの回ということもあってか、結構空いていて、ちょっとビックリ!モノクロ&サイレントな映画ですからね、まあ一般受けはそうはしないのでしょう・・・。

さて、見てみての感想は「これは、芸術作品だな!」ですねhappy01。モノクロのトーンで見せる映像は、色でごまかせない分、構図もはっきりしていてわかりやすく、色だけでなく余計な物をそぎ落としてあり、サイレントだけに見れば分かるように、きちんと構成されていました。モノクロといっても、クッキリした白黒ではなく、セピア色の濃淡が実に計算されていて、相当神経を使って作った感じでしたね~。そして、俳優も表情が分かりやすい顔の作りがクッキリした美男美女で、その顔でわかりやすく感情を表現するので、映画というよりは舞台での演技を見ているような感覚でした。音楽はサイレントの中では準主役という感じなので、こちらもかなりわかりやすく、少しオーバーアクション気味に使われてました。あまりの分かりやすさに、ちょっと苦笑も・・・。で、サイレントはどうか?というと、映像の合間にポイントポイントで英語で書かれたセリフが書かれた場面になり、当然、その日本語字幕を読む仕組みなのですが、これには最初ちょっと戸惑いました。ついつい、英語のセリフを読んでしまうんですよね、で、スピードについて行けず、今度は日本語字幕を読むのですが、短い英語セリフだから日本語字幕だと、ニュアンスがイマイチ伝わりにくいというか、作品がちょっと単調に感じられてしまい、残念でした。サイレンとはやっぱり英語字幕を読めてこそだと痛感した次第happy02です。

というわけで、『アーティスト』は、かなり玄人好みの作品だと思います。私は、どちらかと言341445_100x100_003 うと映画の色彩が好きで、俳優の声が生声が聞きたい方なので、サイレント&モノクロは映画を見る欲望が満たされない感が残ってしまいました。でも作品自体は、今、あえてモノクロ&サイレントに挑戦する姿勢がいいですね。初期の映画は、見る人の想像力がとっても重要だったことを再認識できました。話題の犬の演技もなかなかですし、ぺピー・ミラーを演じたベレネス・ベジョがいいですね!当時のファッションも楽しめるし、ちょっと気分を変えたい時、映画館でご覧になってはいかがでしょうか?

2012年4月26日 (木)

実は真面目なキャリア本・・・『2022-これから10年、活躍できる人の条件』

Photo_3 今回は「歴史」を素材に「働く」ということをテーマにした新書、刺激的なタイトルが目を引く『2022-これから10年、活躍できる人の条件』のご紹介です。ベストセラーにランキングされたので、読まれた方も多いかもしれません。それにしても、このところキャリア関連本では「これから役に立つ」とか「これから生き残る」とか、未来に向けて不安を煽るかのようなワードが目立ちますね・・・。これって、今に対する不安感の表れなのでしょうか?あんまり個人的には不安を煽る姿勢は好きではないのですが、気になる分野なので読んでみました。

ネットでは賛否両論あるようで、個人的には、ちょっと押し付けがましいところが気にはなるものの、考え方としては一理あるなあ~と思いました。著者の神田さんが主張されている「歴史は70年周期で巡っている。」は、手放しで「そのとおり!」とは言えないまでも、今までの歴史を紐解き、そこから何かを探そうとする姿勢はある意味、賛成です。「歴史は繰り返す」と言いきってしまうのにも抵抗がありますが、歴史から学ぶことは多いとは思うので、あくまでも沢山ある考え方の一つとして向き合うのがいいのかもしれませんね、鵜呑みはね、危険ですから・・・。ただ最後の最後に書かれていたキャリアに対する考え方、これには共感しました。
「人生7年節目説によって、ぜひあなたにわかっていただきたいのは、人生というのは、アメリカの典型的な自己啓発にみられるような、ポジティブ思考で一直線に階段を駆け上がるようなものではないことだ。ポジティブであろうがネガティブであろうが、すべての体験を受け入れ、さまざまな役者が演じるドラマを通して、自分とは何者かという事を探求していくことが人間の生なのである。」
「生き急ぐのは、決して賢くはない。今の時代、知識さえあれば、若いうちにマネーゲームに関わり金銭的に成功することは、よくあることである。しかし難しいのは、その後に、どのように人間的に成長し続けるか。成功者としてマスコミにとりあげられた挙く、その看板に押しつぶされていく人は何人もいる。それは成長と言うより、膨張。単に虚飾に満ちた人生になってしまいかねない。」と。
こういった考え方をベースに、だから自分は人生を7年ごとに分けて、それぞれのステージで学ぶべきテーマを課しているという姿勢は、正当なキャリア論にのっとった考え方でもあるので、ありなのではないでしょうか?それにしても、前半の内容を受け入れられず、もしかすると読むのをやめる方もいるのでは?と思えるだけに、このフレーズが最後に出てくるのは、正直、勿体無いです。この考え方を冒頭にテーマとして持ってきても良かったのでは?なんて思ってしまいました。
というわけで、好き嫌いはあるかと思いますが、自分のこれからを考えるきっかけになる本だと思うので、一度トライしてみてはいかがでしょうか?

2012年4月22日 (日)

親子共演に思わず涙・・・『平成中村座四月大歌舞伎』

Photo 見てきました、行ってきました、『平成中村座四月大歌舞伎』これで中村座に足を運ぶこと、4回目ですね~。来るたびに「東京スカイツリー」目当てなのか、人が増え続ける浅草駅から人ごみをかき分け、既に勝手知ったる中村座、今回は早めに到着して、じっくり筋書きを読んでからの鑑賞です。と言うのも、今回見たのは『平成中村座四月大歌舞伎』の第2部「小笠原騒動」で初めてみる演目だったからです。筋書きを読む限りでは、よくあるお家騒動ものだったですが・・・。いや~、見てビックリ!「小笠原騒動」には、歌舞伎の醍醐味がこれでもか!と盛り込まれた作品でした。役者の2役・3役演じ分けや早替わりはあるし、人情物でもあるし、忠義物でもあるし、善悪入り乱れた人間模様に動物も加わるし、仕掛けは大きいし、衣装はきれいだし、最後は大立ち回り!と、4時間の公演時間も短く感じられる充実ぶりでしたhappy01

中でも圧巻はやっぱり水車小屋の本当の水を使った立ち回りと、最後のまさに「大詰 第Photo_2 ニ場 小笠原城内奥庭の場」でしょう。水車小屋の場面は、悪人から善人に改心した岡田良介が、良介に妻を殺された小平次に仇として討たれるのですが、水車小屋と本当の水を使った仕掛けが良く出来ていて、屋根が動いて役者を降ろしたり、水車と一緒に役者が回ったり、そこに本水が使われていて、見ている方はハラハラドキドキheart02、一時も目が話せませんでした。中村橋之助の悪人→善人の演技は、やっぱり上手い!あそこまでの悪人が改心して善人になることが、ウソっぽく見えないのは、やはり橋之助の力のなせるわざでしょう。

そして、最後の大立ち回り、この時の勘九郎のかっこよさと言ったら・・・lovely。すみません、毎回、勘九郎が登場する度に誉めまくりで・・・。ファンだからしょうがないのですが、でも今回Photo_3 も本当に頑張ってました。この大立ち回り、ストーリー的には悪者が最後に脚光を浴びるのはどうよ?と思わなくもありませんが、そこが歌舞伎の面白さ。悪者の犬神兵部が追い詰められていく様を実に派手に見せてくれました。はしごを使った場面では、観客から思わず「お~!」という声が漏れ、歌舞伎ではあまり出ない「ヒュ~ヒュ~」という歓声があがり、場内興奮状態、その熱気のまま、最後は登場人物が全員舞台にそろい、悪者の犬神兵部が緋毛氈を敷いた壇上に上がって幕となり、役者を楽しむ歌舞伎の醍醐味を十分過ぎるくらいに味わえるフィナーレでした。そして、このフィナーレで、勘三郎・勘九郎が舞台の真ん中に並んで立つのを見たとき、思わず涙が・・・。やった、やった、良かったね、勘三郎さん!完全復活ではないとご自身では語られてますが、舞台上の勘三郎さん、存在感の力強さがすっかり戻ってらっしゃいました。嬉しいです、とっても・・・。

襲名披露公演後、どんな役を勘九郎が演じるのか楽しみだったのですが、この作品の選択は、正解ですね。一人が目立つ話ではなく、様々な役者さんの持ち味を活かしながら、最後は勘九郎がスポットライトを浴びる作品なんて、ファンにしてみれば心憎い作品選び。中村座のプロデュース力と団結力が作り上げた舞台だと、つくづく感心してしまいました。何の不足も無い、大満足な公演でした、平成中村座さん、本当にありがとうございました!

2012年4月19日 (木)

女性の強さに拍手!『ヘルプ 心がつなぐストーリー』

340956_100x100_001アカデミー賞にノミネートされた時から気になっていた作品『ヘルプ 心がつなぐストーリー』を見ました。久々に人種問題を扱った作品で、いわゆるドル箱スターや派手なアクションも無く、無名な監督作品ながら、アメリカで3週連続でNO1をキープした2011年ハリウッドサプライズ作と言われた作品です。原作は、ニューヨークタイムズ紙の書籍ランキングに103周連続してランクインした、キャスケット・スコットの処女小説で、原作者が友人であるテイト・テイラー監督に自ら映画化を依頼して作ったそうです。
 人種問題を扱った作品なので、同様のテーマを扱った他の映画で描かれてきたような残酷なシーンがあるかと思っていたのですが、肉体的な苦痛を感じる場面はほとんどなく、登場人物もほとんど女性で、かつ女性に対する視点が優しいので、監督も女性かと思ったのですが、テイト・テイラー監督は男性だったようですね・・・bleah。でも肉体的な残酷さは無いけど、その反対に精神的な苦痛というか、「ホントにそう思っていたの?考えていたの?」と聞きたくなるくらいの差別が描かれていました。舞台は1960年代前半のアメリカ南部、当時の裕福な白人の家庭では黒人の女性をメイドとして雇い、家事から育児からの全てを任せているにも関わらず、待遇は最悪。トイレは別にするとか、同じ食器は使わないとか、一緒に食卓にはつかないとか、同じ人間として決して認めようとしない姿勢はやっぱり理解できませんでした。どうして、そこまで人種で差別をしてしまうのでしょうね・・・。自分だって女性として差別を受けているのに、さらに黒人を差別するのは、さらに痛いbearing

こんな故郷の状況に疑問を感じた白人娘のスキーターが、メイドたちの声を集めて本にすると決意し、様々なメイドの声を集めようと奮闘する話を中心に、ストーリーは展開します。
白人と話すのを見られることさえ恐れる環境の中、勇気を持ってスキーターに協力をするエイビリーンとミニー。この二人の存在感は素晴らしかった!アカデミー助演女優賞にノミ340956_100x100_004
ネートされたのも納得。そんな中、私が一番好きなストーリーは、黒人に対して全く偏見を持たない白人女性シーリアとミニーの絡みですね。自分も白人だけと貧しい地域の出身のため、裕福な奥様仲間に入れてもらえないシーリアは、メイドのミニーに対して偏見を持たず、一緒にご飯を食べたり、料理を教わったり、自分をヘルプしてくれるメイドに対してリスペクトする姿勢が実に自然で、その垣根の無さに戸惑うミニーとの掛け合いが楽しかった!シーリアは、セクシー度合いが過度で少し危なっかしい女性だけど、思わず応援したくなりました。それにしても、ミニーの存在感は抜群ですね~。日本の肝っ玉母さんみたいで、強くて、色んなトラブルを豪快に笑い飛ばすくせに、情にもろいところもあるミニーを演じたオクタヴィア・スペンサー、アカデミー賞助演女優賞受賞も納得!でした。
あと、この作品、衣装と料理で目も楽しめます。1960年代の南部のファッションは、女を過度に強調したスタイリングは個人的には苦手だけど、でも色遣いとかフォルムとかきれいで新鮮でした。南部の料理の迫力もすごかった!ミニーが作るフライド・チキンなんて、ホント美味しそうで、ラードをたっぷり使ってヘルシーとは正反対の料理なんだけど、あれだけは食べてみたい!そう思いました。

人種差別問題を女性の視点から真面目に描いた作品で、女性の強さをきちんと描いている点が高感度高し!の作品でした。上映館が少ないのが残念ですが、女性の皆さま、是非ご覧ください。元気になれますよ。

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